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夏目漱石先生「こゝろ」について

2013.09.24

category : BOOKS


こゝろ (角川文庫)こゝろ (角川文庫)
(2004/05)
夏目 漱石

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私が読んだのはちくまの全集に収録のだったのですが、
「こゝろ」を再読しました。
夏目先生の書かれた小説の中でも、無性に読みたくなり、
スラスラと読めてしまうのだけど、読み終わるのがもったいない、
そのくらい好きと言う作品なのです。
前に初めて読んだとき、先生が自殺をした理由がよく分かりませんでした。
いや、分かることは分かるんですが、
なぜ突然、明治天皇崩御とか、明治の精神だとか言いだして死んだのか。
ネットで検索して、色んな人の考え方を読んでみたのですが、
それでも何となく分からない。

でも今回再読して、その謎が解けたような気がします。
もちろん夏目先生ご自身が、
「書いた人間が何を言いたいかなんて、書いた者にしか分からない」
と仰っていますから、あくまでも私の解釈ということで。

今更あらすじを書くまでもないと思うので、さくっと「先生の自殺」について書きます。
ネットで見ると大抵、先生の自殺は、
明治天皇の崩御と共に明治が終わったことと、乃木将軍の殉死により、
古い時代の自分は死ぬことにしたとか、
やたらと「明治時代」を強調する物が多いのです。
でもそれだと何かすっきりしない。
先生以外に殆ど身寄りのない妻を残して自殺するのに、
そんなとってつけたような理由、小説でも許されないだろと思うのです。
しかも「K」の死の真相(だと先生が思い込んでいる)を田舎から出て来た学生、
というか書生にだけ語り、妻には「頓死した」と思って欲しいとか、
それはないだろあんまりだよ夏目先生と思うわけです。

でもなぜか「こゝろ」の最後の数ページは涙なしには読めない、なぜなのか。
こちらを読みながらだと分かりやすいと思いますが、
55の終りに、明治天皇崩御のシーンがあります。
そこで先生が奥さんに
「最も強く明治の影響を受けた私どもが、その後あとに生き残っているのは必竟時勢遅れだ」
と、感じたことをあからさまに言います。
すると奥さんが「何を思ったのか」、
「では殉死でもしたらよかろうとからかった」とあります。
この奥さんの台詞が先生の自殺の引き金になったのだと思うのです。

Kが奥さん(当時はお嬢さん)への恋心を抱いていたことを知りながら
Kを出し抜いてお嬢さんを嫁にもらうことになった先生ですから、
当然罪悪感もある。
しかも奥さんは、自分に対して冷淡な先生に
「Kさんが生きていたらそんなふうにはならなかったでしょう」なんて言っています。
先生はもしかすると「妻はKを好いていたのでは?」なんて思うこともあったはず。
そんなKを自殺という形で亡くしたのだから、
奥さんの「殉死でもすれば?」という言葉が判決文のように聞こえたのかもしれません。
あくまでも奥さんは冗談で言ったのだし、先生も最初は
「明治の精神に殉死する」と冗談で言っていました。
が、その「殉死」が意味を持ってしまった。

だから「明治天皇崩御」は奥さんに「死ねば?」(言い方があんまりですが)と言わせるための
きっかけであって、先生の自殺のきっかけではなかった。
そして正にそのとき、「乃木将軍の殉死」という事件があり、
先生は自殺した、というのが、今回私の発見した解釈です。
恐らく先生は、死にたいとは思っていたかも知れないけど、
自分の秘密を共有し得る「私」(この人のイニシャルは絶対Tだと、私は思っているw)
という存在が見つかったことで、
ほんの少し生きる希望のような物が生まれたのではなかろうかと思うのです。

「九月になったらまたあなたに会おうと約束した私は、嘘を吐いたのではありません。
全く会う気でいたのです。秋が去って、冬が来て、その冬が尽きても、
きっと会うつもりでいたのです」

とちゃんと遺書に書いていましたしね。
ここの部分、とても好きです。
先生は「私」を心から「信頼したい」と思っていたのでしょう。
いつか話すと約束した秘密も、帰って来てから話せばいいことだったのです。
結果手紙で書いてよかったと、先生は言っているけど、
必ずしもそうする必要はなかったはず。
なのに「私」が戻る前に「明治時代が終わる」なんて理由で死ぬとか、
いやいやないないと言いたいわけです。
奥さんの「殉死でもすれば?」がなければ、「私」が帰って来てから、
二人で「私のような古い時代の人間は必要とされないんですよ」なんて
うじうじ言ってた程度のことに決まってます。
「明治の終り」なんてどうでもよかった、偶然「こゝろ」が書かれた時期より
少し前の時期に明治天皇が亡くなって、乃木将軍が殉死した。
それだけのことだったのだろうと思います。

ただ「私」の「お父さん」に関しては、「明治天皇崩御」と
「お父さんの容体」がリンクしていると思います。
「明治という古い時代」と「大正という新しい時代」の対比なら、
むしろ「お父さん」と「先生」の方じゃないでしょうか。

こう考えると、自分の中で、「こゝろ」という作品が完結しました。
やっぱり泣けます。

ちょっと「奥さん」が先生を自殺に追いやった悪者みたいな感じになってしまいましたが、
この奥さん、夏目先生の小説に登場する女性の中でも屈指の
「ファムファタール」だと思いませんか。
「三四郎」の美禰子さん辺りといい勝負だと思います。


私の解釈について、夏目先生のご意見をお聞きしたいなぁ、できることなら。

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